2020/12/08 14:38
「時間や場所に縛られない生き方って羨ましいな」
会社の社員としてお店で働いていた頃、正直そんなふうに思っていた。
フリーランスで働く知り合いは、自由に拠点を移し、働きたい時間に働き、楽しそうに生きている。
もちろん自分自身も会社から離れた今となっては、それは大いに勘違いだったと気付いている。
始業も終業も決まっておらず、働きたいだけ働けて、寝たいだけ寝られる。
それは裏返せば、仕事の効率性を自分以外誰も測ってはくれないし、仕事をして疲れたように思っていても全然成果につながっていないなんてことも起こりうるということだ。
言ってしまえばその自由は「糸の切れた凧」のようで、ふらふらーと風に流されれば自分の位置も決められないし、地に落ちて二度と動けなくなることだってある。
なんとかしてこの自由さをうまく扱うための「基準」を手に入れられないだろうか。
そうやって色々なスマホアプリやスマートウォッチなんかも試してきた・・・けれどなんだかしっくりこない。
そんな時に、悩みを解消してくれたのが、今回ご紹介する『Time Timer(タイムタイマー)』。
デジタルとはかけはなれた思いっきりアナログなこの道具のことについて今回は話したい。
フリーランスの方だけでなく、在宅期間を有意義に伝えたい人や、お子さんの自宅での時間の過ごし方に思うところがある人にはぜひ読んでほしい。
時が見えるってこういうことなんだ
アメリカで生まれたTime Timerには25年以上の歴史がある。
様々なモデルが登場しているのだけど、基本的な機能はだいたい同じだ。
手動で設定したい時間まで赤い範囲を回して、
あとは時間が進むにつれて、赤い範囲が減っていき、残り時間がゼロになったらアラームを鳴らす。
ただそれだけ。
携帯電話でもスマートウォッチでも同じことはできる。
なんならTime Timer社から純正のアプリまで出ている。
ただ違いはある。
Time Timerには「これしかできない」のだけど、スマホやスマートウォッチだとそれ以外のことも「できてしまう」という点だ。
どうしてもスマホを使おうとすると、今やるべきことと関係ない通知や、メールの返信だとか、ゲームへのログインだとかが「できてしまう」。
また、他のこともできるがゆえに、アラームが鳴るまでは「時間を目にすること」ができず、終わって初めて気付く・・・といった状態に陥りがちだ。
その点Time Timerなら残り時間が面積として明示される。
別売の単3電池で駆動するため、仕事や勉強をしている最中には気にならず、ふと残り時間を確認する際に目をやると、まだ余裕があるなとかもう残り少ないからスパートをかけないといけないなとかが「直感的に」理解できる。
これは、時計を読むことができない子供達の学習のために開発されたアイテムであるということも影響している。
そして、知識不要で「見ればわかる」という状態は、作業の上でもノイズにならないし、スッと頭に現状が届くということだ。
これは、馬鹿にしがちなところだけど、「必要ない」と思っている人にほど必要な機能性だと思う。
いかに知識とか意識とかに頼らず、判断力の鈍っている自分にも効き目がすぐ届くか・・・というのは、パフォーマンスを一定に保つ上でとっても重要なことだからだ。
正直、会社の会議室にはこれが最低1つはあったほうが良いんじゃないかと思う。
会議の残り時間を変にタイムスケジュールで書き出すよりも、残り時間がどれだけなのかを静かに明示してくれて誰が見てもわかりやすい。
最大サイズの12インチタイプは塾や学校の教室で愛用されるモデルだけど、マグネットもついていてホワイトボードなんかにも貼れるのであるだけでいろんなことが捗る。
リモートワークでも使いたいなら、PCデスクのすぐ後ろの壁に時計のようにフックで引っ掛けて見せつけてみるのも意外といいんじゃないかと思ってしまう。
Time Timerは不思議と使っていて気持ちいい。
それは誰もが親しんだ時計の進み方「時計回り」で時間が進むことも影響しているように考えられる。
誰もが知るように時計の回り方はこんな感じ。
右回りに未来へとすすんでいく。
その時間の進みにあわせてもしTime Timerが45分間を右回りに増やして設定して、表示範囲を減らしていくとするとTime Timerの動き方は「左回り」に動くことになる。これだと時間の動きが逆行していく感じがしてたぶん違和感が出てしまう。
その点、Time Timerは時計回りとは逆にノブをまわして時間を設定し、時計回りに赤い範囲が狭まっていく形を採用している。
これは、Time Timerが気持ちよく使えているひとつの理由なのではないかとごく真剣に考えている。
時間は夕日が沈むように、静かに過ぎていく
実際にTime Timerを眺めながらお客さんと話していた時、まるで夕日が沈んでいく姿のようだねという感想で意見があった。
音も立てず静かに、誰の身にも平等に時間は過ぎていく。
そして、沈んだ夕日は明日を待たないと帰ってこないように、人の手で動きを止めることはできない。
仕事をしているときには最後の数分は無慈悲なほどはやく過ぎてしまうのだけど、ただこのアラームを眺めていると残りの1分すらとても長いものに感じられる。
それぐらいに人の意識は環境によって時間を大きくも小さくも感じてしまうものだからこそ、その流れを目に見える形にできるTime Timerはとても尊いものに感じられる。
ぜひ時間管理に悩んでいる人には試してみてほしい。