リュック派のあなたに伝えたい 「ツッパることをやめ、動き出した棒」の話 | docketstore

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2020/07/15 10:27





「これは・・・、どうなんだろう」

そのアイテムとの出会った時、芽生えた感情は「戸惑い」だった。
その商品を製造しているのは「平安伸銅工業」さん。
大阪の老舗突っ張り棒メーカーだ。

代表的なアイテムでもある「ドローアライン」は、一本の線から始まる新しい暮らしを掲げて、とてつもなくおしゃれな突っ張り棒を世に送り出してきた。

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そして、突っ張り棒へ注ぎこむ熱量は半端ではない。
3代目社長の竹内香予子さん自ら「ツッパリ嬢」に扮して、突っ張り棒の使い方までレクチャーするほどだ。

そんな平安伸銅工業さんが、突っ張らない棒を出すという。
ミスタードローアラインと呼ばれる担当者の萬さんから、その話を聞いた時には「・・・大丈夫?」と正直思った。

でも、その心配は杞憂だった。
結果として、お店にやってきた新作は、とてもいい感じだったのである。
今回は、突っ張り棒という枠を超えて新たな一歩を踏み出した、平安伸銅工業さんの新作「ドローアライン move rod」についてご紹介させてほしい。

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そもそもドローアラインって?

「この前、めっちゃいい突っ張り棒見つけたんですよ」

今から数年前。
まだ無印良品で働いていた頃。
職場のDIY好きな知り合いから、会議の帰りにそんな会話をした。
それが私の「ドローアライン」との出会いだった。

突っ張り棒と言えば、トイレの上でおかんがトイレットペーパーを置くためのスペースを作り出してドヤ顔をしていたあれだ。
たいてい安っぽいプラスチック素材で、人の目が入らない場所で使うもの。

そういうものだと思っていた時期が、私にもありました。
それが商品写真をスマホで見せてもらった瞬間に吹き飛んでいった。

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黒くて、アイアン調のおしゃれな突っ張り棒。
それが天井と床で突っ張っていたのである。
横じゃないのかよと。
いや、横のやつもあるんだけど、天井と床で突っ張るという驚きの使い方にそれはもう度肝を抜かれた。

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しかも、フック、トレー、テーブル、更にはライトまで!
好きなパーツを取り付けて、自分だけの収納空間を作り出すことができるのである。

無印良品でも、当時「壁につけられる家具」という商品がヒット商品になっていた頃。
収納家具を模索するためにお客様の家を観察していたら、家具を置く場所がそもそもないことが開発のきっかけになっていたことを覚えている。

それをこの「ドローアライン」は全く別のアプローチから鮮やかにクリアしていったのである。
文具屋としてはじめたうちのお店でも、開店した時から取り扱わせていただいている。
ドローアライン(DRAW A LINE)という名前から線を引くのは文具であるという拡大解釈には無理があるけれど、それくらい魅力的な突っ張り棒だ。

置きたい場所に持っていけるということ

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では、突っ張り棒界にイノベーションを起こした「ドローアライン」が動くことで、どんなメリットが発生するのか?

最大の強みを捨ててしまったのではないか?
そう心配する人も多いのではないかと思うし、実際自分もそう思っていた。

しかしながら、新アイテムの「move rod」に触れると自然に気づくことになった。

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まず、想像しやすいメリットとしては「移動できること」
例えば植物を置いて、時間帯によっては日光浴をさせるために窓の近くに持っていく・・・といった行為はイメージがしやすいと思う。
ベランダ近くに突っ張り棒を立てると、洗濯物を干す時に邪魔に感じる時もあるので、置きたい場所にさっと移動できるということはメリットとして十分に強い。

気軽に設置、組み合わせ変更ができること

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じゃあ、植物を育てている人以外は特にメリットがないの?
私自身、そこが一番心配だった。

そんなに色々動かすかな?
IKEAの超コスパのよいスチール製のワゴンで事足りるんじゃない?

そんな意地悪な考えも頭をかすめていた。

でも、これは杞憂だった。
むしろ、植物の移動よりも、デスクサイドなんかで使う人のほうが重宝するんじゃないかとすら思える。

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これまで突っ張り棒タイプのドローアラインだって、デスクと組み合わせて使うのは便利だと思えるアイテムだった。
ただ、設置するのが大変そうだな・・・とか、トレーの場所や順番を入れ替えるのに、一度突っ張り棒パーツごと取り外す手間が発生するし、一人で取り付けるのは難しい。
なかなかいざやろうとすると、ハードルが高いアイテムだった。

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それが、このサイズで突っ張らないとなると、気軽に行うことができるようになる。
設置を気軽に行えるというのは、1つ大切な要素だと思う。
トレーとフックの順番の入れ替えも、2人がかりで支えながら・・・といった重労働ではなくなるし、圧倒的に楽だ。

作業用ワゴンとしての想像以上の完成度

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そして、私が最も感心させられたのは「作業用ワゴンとしての完成度」だった。

もともと、オフィス用の個人用ロッカー的にドローアラインを使用する想定は、突っ張り棒時代から十分になされていた。
でも、突っ張り棒故に、自分と反対側を向いているトレーは引き寄せられないし、それが当たり前だった。

それが、move rodという形になって、4個搭載されたキャスターによって、少し離れたところから引き寄せたり、好きなトレイを自分の方にぐるりと回転させて近づけたりということがぐっと楽になった。

トレイの高さも自分好みの位置に調整できるのはあたりまえ。
リュックをフックでキレイに吊るせるワゴンなんてなかなか世の中にない。
個人的にはここが一番ポイントが高く感じられている。

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ソファ用のサイドテーブルとして使う際にも、ただのサイドテーブル用途にとどまらず、植物を置いて飾りつつ窓の近くに植物を持っていくことにも使えたり、複数の用途を好みに合わせて使い分けることができることが面白い。

もしかすると、欧米と違って地面に近い位置で生活をする日本人の方が、このmove rodの恩恵は強いようにも感じられる。

新しい暮らしを提供する一本の線

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move rodを始めてみた時。
反射的に否定してしまいそうな自分がいた。

ドローアラインは突っ張り棒としてイノベーションを起こしたんじゃないか!
それなのにどうして最高の強みを捨てるんだ!

それは商品のファンとしても、心が叫ばずにいられなかっただと思う。

でも、ドローアラインは「突っ張り棒」であることがゴールなのではない。
はじめからそれはそうだったのだ。

一本の線から始まる新しい暮らし

冒頭でも紹介したドローアラインのキャッチコピーを見ればそれはわかる。
あくまで、突っ張り棒ではなく「一本の線」が、新しい暮らしを提供していくものとして、move rodはその新たな試みとして生まれるべくして生まれたのだと。

そして、トレイやテーブルといった部分が、従来の突っ張り棒用のパーツで成立しているというのも素晴らしいと思う。
作った当初はこんな使い方は想定していなかったはずなのに、あたかも当然の顔をしてmove rodが成立しているのは、デザインとしても素晴らしいことだと思う。

ぜひこの突っ張らないドローアラインを試してみてほしいと思う。