2020/03/18 16:25
5年前のある日。
私は店舗用品を扱うTHE・業務用なお店で、ある塊に目を奪われた。
それはクリアホルダーの100枚セット。
手にとった100枚セットは、想像していたよりもとても分厚くてずっしりと重かった。
少しだけ悩んだあと、私はクリアホルダーをレジにもっていった。
「これがあれば自由になれる。」
大げさなようだけど、私はその時そんなことを考えていた。
クリアホルダー大国と言っていいほどクリアホルダーが愛されている
クリアホルダーやクリアファイルと一般的に呼ばれる半透明な書類入れを使ったことがない人は日本にはいないだろう。
挟んだだけで書類をまとめることができ、なおかつ中身に何が入っているのかを確認できる便利で安価な道具だ。
さきほどの100枚セットだって、1000円もしない。
1枚あたりの単価は10円を切り、会社での仕事には欠かせない。
日々、本部からの指示を大量にさばいていく上で、A4の書類はコピー機から常に吐き出され続ける。
その数十枚から数百枚にまで及ぶコピー用紙を適切なスタッフに渡していく上で、クリアホルダーはホッチキスやパンチで穴をあける手間もかからず、非常に便利だ。
しかし、クリアホルダー1枚もうまい棒より安いとはいえコストはコスト。
再利用するべき! だとか。
経費として負担にするべきではない! だとか。
もちろん最もな理由だけど、使える数には制限があった。
その制限から自由になりたくて、私は自費でクリアホルダーを100枚買った。
結論から言えばその方法は、効率という意味では間違ってはいなかった。
複合機から溢れ出すコピー用紙を挟んでは仕分け、挟んでは仕分け。
100枚のクリアホルダーを1ヶ月程度おきに補充しながら、私の仕事のスピードはあがった。
でも、一つの道具による効率アップはいつか頭打ちになる。
A4コピー用紙を効率的に扱えば仕事は早くなる。
更なる武器を探して私は様々な道具を買っては試し、買っては試した。
最強の30穴バインダーがあるときけば試し、
クリアホルダーを本のように束ねて使いやすいクリアホルダーブックがリリースされれば試し、
キンドルペーパーホワイトみたいにPDF書類を表示できるデジタルノートがソニーから出れば試し、
書類をクラウド経由でPDF化できる最強のスキャナーが発売されれば試し
クリアホルダーを美しく整理できる箱が発売されれば試した。
デジタル、インテリア、事務用品。
それぞれの道具がそれぞれに優秀で便利だった。
それでも、なかなかクリアホルダーを超えられなかった分野がある。
それが、カバンの中で書類を整理しておくものだった。
クリアホルダーは誰もがご存知の通り薄くて軽い。
それでいて書類を保護して、折れたり汚れたりすることから守ってくれる。
カバンにノートパソコンをいれてお店と自宅を往復するようになってからは、大きなファイルを運ぶのは避けたいと思うようになった私は、殊更クリアホルダーを使うようにしていた。
しかしながら、徐々に傷ついて汚れていってしまう。
かといって、使い捨てにするのもなんだか環境問題的に気が引ける・・・(過去にあれだけばらまいていたのに。いやばらまいていたからこそか)。
複数の種類の書類を仕分けするには複数のクリアホルダーを使うと、カバンの中でばらついてしまうのがなんだか気になる。
なんかいいものないかな・・・とずっと思っていた。
その解決策は華々しい登場をしたわけではなく、本当に気づけばカバンの中にいた。
それがidontknow.tokyoさんの「SLIT」だった。
SLITはとてもシンプルなファイルだ。
使い方は簡単。
上図の1、2の工程を踏むだけで、コピー用紙が本のようにまとまる。
初めてその工程を見たお客さんは皆「おおー」といって不思議がる。
秘密は上下に付けられたこの綴じ部分。
この処理が、樹脂シートの奥に袋状の部分を少しだけ作り、差し込まれた書類を圧迫。
そして、抜こうと思えばすぐ抜けるという機能性につながっている。
だけれど、仕入れはじめの頃は、この商品の使いみちがそこまで浮かばなかった。
本のようになるとはいえ、構造的にテーブルの上でフラットには置けない。
仕事で営業相手にプレゼンテーション的に使う際にも表紙が常に閉じようとしてしまうのでちょっと煩わしい。
3冊セットなのでお店には1冊展示しておいて、後から使い方をいろいろ考えようと思って残りの2冊をとりあえずカバンに放り込んでおいた。
そして・・・いつの間にかめっちゃ使うようになっていた。
商談の場で出しても高級感のあるシンプルな見た目で、かつ他に放り込んでいる適当な書類も透けて見られないから、恥ずかしくない。
小さすぎるレシートはさすがに扱いにくいけど、ちょっとしたパンフレットやB5サイズの書類もさくさく放り込める。
中身が見えないのに、複数の種類の書類を放り込んでも本のようにパラパラとめくれば目当ての書類を探し出せる構造。
そしてなにより、薄くて軽い。
名前のSLITは、書類を差し込む隙間を意味しているのだろうけど。
個人的にはカバンの限られたスペースを切り開いて隙間に入り込んでいく。
そんなイメージすらある。
入れてることも忘れてしまうようなその薄さと書類が保護できる防御力はクリアホルダーそのまま。
それなのにかっこよくて、クリアホルダーより使い勝手がよい。
クリアホルダー2.0といっても過言ではないと思う。(クリアじゃないけど)
確かに、アスクルで買えば一枚あたり7.5円ぐらいなクリアホルダー。
そのまま換算すれば、3枚入りで1200円のSLITは1枚400円(税抜)。
つまり、クリアホルダー約53枚分の値段がする。
でも。
ママチャリとママチャリ50台分の価格のロードレーサー。
どちらかが勝ちというわけではなくて、それぞれに違った用途がありそれぞれに価値があるように。
私は、SLITはクリアホルダーを53枚集めてもなし得ない使い勝手を提供してくれるように思います。
そして、ロードレーサーよりSLITの方がお求めやすいので試すだけの価値はあると思います。
気になった方はぜひ試してみて下さい。