使わない時の佇まいまで美しくあること。 SOGUの『LINE HOOK』 | docketstore

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2020/01/04 14:03

「シンプルイズベストってやつやな」

大阪のおばちゃんはヒョウ柄の服に身を包みながらも、シンプルイズベストという言葉を知ってるし使うこともある。
大阪のお店で3年弱働いていた私は、不意にその事実に違和感を感じた。

「シンプルイズベストってなんや?」・・・と。

直訳すれば「シンプルって最高! ヒャッハー!」的な意味合いに思えるけれど、多分違う。
シンプル至上主義の人しか使わないような言葉ではないし、ヒョウ柄のおばちゃんもジャガー柄のおばちゃんも平等にこの言葉は使う。

そもそもこの言葉は和製英語らしい。
サラリーマンやシャープペンシルと同様。
海外では通じないフレーズなのだ。

そんな悩める私に一つのこたえをくれた道具がある。
それが本日ご紹介するマグネットフック『SOGU LINE HOOK』だった。

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これまでにもご紹介してきた大阪の生んだブランド『SOGU』。
A4サイズのコピー用紙を美しく置けるペーパートレーや、本自体を本立てにできるブックストッパー等、シンプルな道具を作ることを得意とされている。

そんな中でも際立って「LINE HOOK」はシンプルに感じられる。

ステンレス製の板の先っちょをぐいっと曲げただけの造形は、真正面から見たときにはただの線にしか見えない。

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マグネットは裏面に同じ色合いで接着されている。
初めて展示品を見たお客様は磁石で壁にくっついているのか直接接着剤で貼り付けているのか迷うぐらいに磁石の力も強く、およそ200gまでフック部分に吊り下げることができる。

普通は「 J 」のような形をしたフックとマグネット部分に別れたパーツで構成されがちなマグネットフックだけど、「LINE HOOK」は2つの要素を不自然さに陥ることなく融合させている。

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この「LINE HOOK」
取り扱いをはじめて数ヶ月は「なんかいいな」と思いながらも、何がいいのかはよくわからないでいた。

等間隔に並べて置けばたしかにかっこいい。
でも、そんなに目立つものでもないし、それ以上のものではないように思っていた。

でもある日、この道具をデザインされた方のコメントを目にして、パズルのピースがハマるかのようにその理由がわかった。

まだデザインという仕事を始めたばかりの頃。担当している商品の図面をM先輩にチェックしていただいた時のことを思い出しました。
『このレバースイッチの角度はまちがってるね。電気製品はOFFの時間がとても長い。その状態の時に一番きれいになっている状態を想定してください。』と指摘されました。

マグネットにとってのオフの時間。
それは何もかかっていない時の時間のことになるだろう。

そのオフの時間、「LINE HOOK」はただ静かに、整然と佇んでくれている。
だいたいのマグネットフックは、物がかけられればよいと考えたり、そのもののかっこよさを主張しがちだ。
だけど、この道具はオフの時間をただの「線」のように家の風景の中で溶け込んでいってしまう。

一方で、オンの時間はフックの大半を引っ掛けたものが覆い隠してしまうために、更に存在感を消しているという徹底ぶり。

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そういう視線で眺めた時、この「LINE HOOK」はマグネットフック界のプロフェッショナルなんだな・・・と一人納得した。

冒頭の「シンプルイズベスト」の話に戻るのなら、このベストって「NO.1」とか「最高」というよりは、「最適」を意味するのだと思う。

シンプル故に様々なインテリアや用途にも対応できる。
使う人が思い思いに考えて使いこなせる道具だと感じた時、大阪のおばちゃんも「シンプルイズベストやな」と賛辞を贈らずにはいられなくなるのだ。

シンプルなものを作るのはけして簡単なことではない。
そんなアグレッシブなチャレンジをしていくSOGUさんをこれからも応援していきたいと改めて思いました。

そして、ぜひ気になった方はLINE HOOKを玄関のトビラや冷蔵庫に貼って試してみて下さい。